中国・四川省の山あいには、かつて石炭を運んでいた小さな鉱山鉄道が現在も残っています。
それが「嘉陽小火車(かようしょうかしゃ)」の愛称で親しまれる「芭石鉄道」です。
黒い煙と白い蒸気を上げながら走る姿は、まるで昔の映画の世界。産業遺産と美しい農村風
景を同時に楽しめる、四川省を代表する鉄道観光スポットです🚂✨
嘉陽小火車・芭石鉄道とは?
芭石鉄道は、四川省楽山市の犍為県(けんいけん)にあります。省都・成都からは南へ約
195キロの場所です。
主な呼び方は次のとおりです。
嘉陽小火車(嘉阳小火车)
芭石鉄道・芭石鉄路
嘉陽炭鉱鉄道
Jiayang Coal Railway
Shibanxi Railway
「芭石」という名前は、かつての沿線集落「芭溝」と起点側の「石渓」を結ぶ鉄道である
ことに由来します。
石炭を運ぶために造られた鉱山鉄道⛏️
嘉陽炭鉱の歴史は1930年代に始まります。当初、掘り出した石炭は人力のトロッコなどで
運ばれていましたが、輸送力を高めるため1958年に鉄道建設が始まりました。
1959年7月、石渓と黄村井方面を結ぶ約19.8キロの鉱山鉄道が開通。石炭貨物だけでなく、
鉱山労働者や家族、沿線住民の生活を支える旅客列車としても利用されました。
炭鉱の縮小や道路整備によって廃止の危機を迎えましたが、歴史的価値が評価され、観光鉄道
として保存されることになりました。2007年には、車両と線路が四川省の文化財に指定され
最大の特徴は762ミリの狭い線路
一般的な中国や日本の新幹線の線路幅は1,435ミリですが、芭石鉄道はわずか762ミリです。
通常の線路幅の約半分しかないため、機関車も客車も非常に小さく、「ミニSL」のような
愛らしい姿をしています。
一方、実際に乗ると石炭を燃やす音や汽笛、煙、車体の揺れが伝わってきます。単なる
展示車両では味わえない、蒸気鉄道時代の臨場感が魅力です。
昔ながらの手作業が残る「生きた産業遺産」
この鉄道では、現在も蒸気機関車らしい作業を見ることができます。
石炭を火室へ投入する
水を補給する
手作業でポイントを切り替える
機関士が蒸気圧を調整する
人の操作でブレーキを扱う
こうした昔ながらの運転方法が残ることから、「産業革命の生きた化石」「生きている産
業博物館」とも呼ばれています。新華社
鉱山鉄道らしい見どころ🚂
1.蜜蜂岩駅のスイッチバック
山岳地帯を走るため、線路には急勾配や急カーブがあります。
蜜蜂岩駅では、列車が進行方向を変えながら坂を上るスイッチバックが見られます。小さな
SLが客車を押したり引いたりする姿は、鉄道ファン必見です。
2.トンネルを抜ける迫力
路線には複数のトンネルがあります。SLが暗いトンネルから煙と蒸気を上げて現れる瞬間
は、鉱山鉄道らしい迫力があります。
3.菜の花畑を走る春の風景🌼
特に人気が高いのは、菜の花が咲く春です。
黄色い花畑の中を黒いSLが白煙を上げて走る姿から、「春へ向かう列車」と呼ばれること
もあります。夏にはヒマワリなど、季節ごとの農村風景も楽しめます。
4.芭溝の炭鉱町
終点側の芭溝には、炭鉱住宅や古い建物、映画館など、かつての鉱山町の面影が残って
います。
SLに乗るだけでなく、炭鉱町を歩くことで、労働者と家族がどのような暮らしをしていた
のかを感じられます。
現在は観光列車として運行
かつては地域住民の日常的な交通手段でしたが、現在は観光列車としての役割が中心です。
最近の旅行情報では、通常の生活列車ではなく、1日数便程度の観光列車が案内されています。
ただし、運行時刻や区間、SLを使用する列車、料金は季節や整備状況によって変わります。
訪問前には現地の公式案内や旅行会社で最新情報を確認する必要があります。
まとめ
四川省の嘉陽小火車は、単に古いSLを走らせている観光鉄道ではありません。
石炭産業を支え、鉱山労働者や山間部の住民を運び続けた「生活の鉄道」です。炭鉱が縮
小した後も、住民や鉄道関係者の努力によって貴重な産業遺産として残されました。
小さな蒸気機関車、狭い線路、スイッチバック、トンネル、炭鉱町、そして菜の花畑――。
嘉陽小火車は、四川の歴史と自然を同時に味わえる、世界的にも貴重な鉱山鉄道といえる
でしょう🚂🌼⛏️

